▼大野靖之さんと創った温かい「気」
[2007年03月05日(月) ]

 

 3月3日、千葉県柏市の柏駅からすぐ近く……なのにビルが工事中で場所がわかりにくかった(来ていただいた美馬さん、ごめんなさい)「京北ホール」で、『「ヒット曲が世界を変える!」出版記念パーティ featuring 大野靖之』が行われました。

 まちがいなく、この日のキーワードは「気」でした。私はこれほど、あったかい「気」に満ちたライブを体験したことがありません。

 こぎれいな会場に、定員いっぱい、80人の参加者が、開始2時間前には列ができ始めるほど熱い「気」を持って集まってくれました。始まる前から、私は妙に落ち着ける、何だか心が弾んでくる想いでいました。

 準備段階ではいろいろ心配がありました。私が風邪でダウンし、司会の木村あつしさんを始めとするスタッフとの打ち合わせが不十分だったこと、それに渋滞で実行委員会のメンバーが遅れるハプニングまで加わりました。

 いら立ちを隠せないでいた私でしたが、やってきた大野さんと S マネージャーの笑顔に助けられました。さらに、受付で次々と訪れる人たちのうれしそうな顔を見ていて、気持ちが次第にゆったりとしていきました。

 木村あつしさんと高橋麻美さんの軽妙な司会で、まず私がこのパーティに至る経緯をお話ししました。私がどうしてブログを書こうと思い、またその際「オリコンブログ」を選んだか(その一部はこちらから読めます)、そしてブログを通じて大野靖之さんに会ったからこそ、今もブログが続けられていること、そのつながりとか絶妙な出会いには、大きな意味があるにちがいありません。

 大野さんのことを初めてブログに書いた時、私の住まいの近くで大野さんのミニライブがあることを教えていただいた、パピヨン☆さんもパーティに来て下さっていました。私はそのコメントのおかげで、ナマで大野さんの歌声を初めて聴いたのです。きれいでりんかくがはっきりしていて、私の身体を揺さぶる「ちから」がある……私は身震いするほど感激しました。

 そしてそれから2年近くたって、おおぜいの方を前に、大野さんとトークライブが開ける。私の夢のひとつがかなった感じで有頂天……なのですが、この日はその「有頂天」な私を、「よかったな、楽しく話すといいよ」と励ましている、もうひとりの私もそばにいてくれました[この話のオリジナルは大野さんです。彼がライブに立つ時もこういう心の状態になると聞いて自分も同じだと感じました]。

 40分近く、ふたりで「自然体」で語り合えました。お互い肩ひじ張らずに、楽しく話を進められました。

 柏という地は大野さんが路上ライブを長くやっていた場所であることから始まって、学校ライブのこと、学校や教員を見て大野さんが感じたこと(大事なのは子どもが受け取っている文化に敏感になること!)、お互いのブログを書く時の苦労……(大野さんはひとつの記事に3時間かける!)。

 ふたりとも渋谷がきらいだ、という話では大いに盛り上がりました。コミュニケーションしないで足早に通っていく「おおぜい」という言葉では何かが違う無数の人たち。そこからマイナスの「気」を感じて、体調さえ悪くなってしまう……。

 ……というかなりプライベートな話ができたのも会場の「気」でした。来ている人たちに誤解されることなんてないだろうという信頼が、安心を創り出していたのです。 そんなあとの大野靖之ライブです。芯から心をぽかぽかと温めてくれる声とメロディは、会場と一体になって優しい「気」が充満していきました。

 大作「二十二歳のひとり言」でしめた後、アンコールは「日溜り」。でも拍手はなりやみません。「やっくーん!」と声もかかります。予定外のダブルアンコールになりました。ひそかに期待していたとは言え、実現すると、胸がじーんとするほど熱くなりました。

 こうやって会場とアーティストが感応しあって、気持ち良く歌い聴くのが本物の「アンコール」ですよね。大野さんが一度やりたかったという「あいしてる」の会場との大合唱。私も心をまっさらにして、会場のみんなといっしょに歌いました。

 大野さんの「気」も、会場に向かって大きく「解放」されていました。路上ライブの思い出、ご両親の話、「こんなオレを生かしてくれてありがとう」と生きていること=命に謙虚になりたいこと……ふだんのライブではまず出てこない話も語ってくれました。あ、S マネージャーの裏話も……お子さんが生まれたそうです。S さん、とってもうれしそうでした。

 「千の風になって」(オペラバージョン)もめったに聴けない曲になりそうです。高校で声楽をやった大野さんならではの、「めちゃうま」でカッコいい歌唱。大野さんの「引き出し」の多いこと! お母さんはこういう歌い方の「やっくん」の方が好きだった、というさりげないエピソードとともに心にしみました。

 大野さんのライブを聴くのはほぼ半年ぶりなのですが、ひとすじの線が通った、今までと違う「迫力」を感じました。

 ひとつは歌に込める感情がさらに並ではなくなっていることです。すでに聴いた曲たちも、別の曲に聞こえるくらい歌い方が変わっていました。いま、この瞬間の、大野靖之の想いが、突き刺さるように飛び込んでくるのです。

 私が大好きな「ともだち」もかなり違った角度からの思い入れを込めた新鮮なヴァージョンになっていました。「おつかれさま」や「ついて」などの新曲たちも輝いていました。父親との関係や人間のあり方と真摯に向き合う姿勢にこちらの身も心地よく緊張しました。超名曲「二十二歳のひとり言」は息が止まるほど圧巻の15分でした。

 もうひとつは、聴く人を意識した自己表現です。

 伝えたいことを音楽を通じて伝えよとだけするのではなく、MC から曲への移り方、あるいはライブ中の間の取り方などの気配りに対して、今まで以上にエネルギーを注いでいるように見えました。表現者として、できる限りの工夫をしていこうという「気」合を感じました。 大野さんは大きく変身する直前の模索をしているようにも見えました。もともと「おすまし」ではなく、周りのテンションを上げてくれる明るいキャラクターだった大野さんが、その原点に戻り、それを今の大野さんに生かそうとしているのかもしれません。

 あるいはこんな分析さえ吹っ飛ばして、新たなステージへ向けてすでに疾走しているのかもしれません。何か新たな飛躍が起こりそうな予感がしてなりません。

 ライブが終わってからも、あちこちで「輪」ができて、それぞれに穏やかな「気」で交流が起こっていました。私もたくさんの方から声をかけていただき、さらにうれしさが増しました。

 とりわけ、同じくシンガーソングライターをめざしている若者(大野さんのヴォーカルに惚れたみたいです)、w-inds. や ENDLICHERI ☆ ENDLICHERI のファンの方など、大野さんの音楽に初めて触れたという方々のほとんどが大野さんを好きになってくれたことが、うれしくてたまりません。私に「よかったです!」とメールが来たり、帰りに大野さんの CD を買っていってもらえたり、これもまた「やってよかった」と
思える瞬間です。

 大野さん、S マネージャーさん、木村さんを始めとするスタッフ、そして会場に足を運んでいたただいたみなさん、すばらしい「気」をあの「京北ホール」に創り出してくれて、本当にありがとうございました! このパーティの「気」そしてそこから生まれるぬくもりのある「愛」を、少しずつでも広げていきたいと思います。「大野靖之」というすばらしいメッセンジャーを通じて。

★大野さんからも、このパーティをステキな記事にしてくれています→こちらからぜひお読み下さい。

 

  《 06年8月29日大野靖之 07年3月28日大野靖之》