▼w-inds.「Journey」の見事な完成度[後編]
[2007年03月09日(金) ]

 

 アルバム「Journey」を聴き始めて2日目に入っても、輝きは増すばかりだ。

 最新シングル「ハナムケ」がアルバムの最後におかれているのが印象的だ。別れをあえて「笑顔で」という難しいコンセプトを、今までとひと味違う曲調で、「ため」と「こく」のある新しい歌い方で、そして自然体な振り付けで表現する。

 前作「THANKS」で、これまでこれたことをファンや周囲に感謝し、この「Journey」で次なるステップへ新しく旅立つ、と言う(「ORICON STYLE」インタビュー)彼ら3人自身へ向けても「はなむけ」になっている曲だ。この新生面満載の曲からさらに飛躍が始まりそうだ。

 昨日見られなかった「Journey」に付いている DVD の方を見た。アルバムへのコメントでは、ライブ・パフォーマンスを意識している、という発言が印象に残った。確かに、これだけ様々なメロディとリズムがあると、どの曲も、ライブでダンスを伴ってどう再現されるかがとても楽しみだ。

 さらに私が注目したいのは、アルバムの楽曲を語る時の3人の思い入れの強さだ。何度も「この曲はいい」とか「好きやで」とかの言葉が入り、1曲1曲を心から愛しているのがわかる。こんな気持ちで歌われる歌たちも幸せ者だ。

 映像やジャケットを見ていると、ほぼ同い年なのに、ひとり抜け駆けして、やたらデカくなった橘慶太と、小柄な緒方龍一・千葉涼平とが妙にアンバランスに見える。

 しかし不思議なことに、では慶太がひときわ目立っているのかというと、そうでもない。インタビューでは明らかに龍一が中心だし、涼平も鋭いことを語る。3人の存在感は見事なまでに対等なのだ。

 そうなってくると、体形のアンバランスが逆にいとおしく見えてくる。慶太を龍一と涼平で守っているように見ることもできるし、3人がきわめて仲がいいようにもとれる。

 いつも書いているように、こうしたことはあくまで「推測」でしかないことを心にとめなければいけないのだけれど、少なくとも言えることは、彼ら3人が確実に温かい「気」を発していることである。「いとおしい」とはそういう意味だ。

 インタビューとしては、様々なグループの中ではおとなしい方だろう。決してはしゃぎすぎない。しかしその穏やかさ……いやもう「落ち着き」といっていいだろう……が、私たちを優しい気持ちに導いてくれる。 録音風景やジャケット撮影風景を見ると、さらに彼らのまた別の「気」も「感じる」ことができる。

 何をやるにしても、3人とも「一途(いちず)」なのだ。真剣に取り組み、決して手を抜かない。何よりも目線が厳しく、鋭い。その姿勢が、CD やライブに表れている「輝き」につながっていく。

 真面目すぎるかなとさえ思う、誠実な「気」を感じられてうれしい。

 それは彼ら3人の言う「ありがとう」が本気であることからもわかる。口だけで、言葉だけで「ありがとう」を言うなら誰にでもできる。卒業式で「仰げば尊し 我が師の恩」と歌っても、失礼な教員に対しては全く感謝などしていないのと同じだ。

 心から「ありがとう」と言うのは、本当に難しい。ちなみに、WaT もそんな「ありがとう」を言えるアーティストのひとつだ

 そして DVD の最後に彼らは、スキルをアップさせながら、ゆっくりあせらずw-inds. のスタイルを作っていきたい、ステップアップしていきたい、と語った。

 この「ゆっくりあせらず」がいい。自分らしさは簡単に見つけられるものでもない。しかし見つけようという意志と希望があれば、時間がかかろうと必ず見つかっていくものだ。w-inds. らしさへ向かって、勢いよく旅立ってほしい。

 

  《 2007年03月08日w-inds. 2007年03月22日w-inds. 》