窓辺 第1回「ひょうたん島への想い」
[静岡新聞 2007年7月4日 夕刊1面]

 

静岡新聞 ひょうたん島への想い

 

 富士山のふもとに漂着したひょうたん島……沼津市西浦地区の海岸や高台からは、そんな素晴らしい景色が眺められます。

 その「ひょうたん島」とは、沼津市の狩野川河口に位置する牛臥山(もとは島でした)。1964年にテレビ人形劇『ひょっこりひょうたん島』がNHKで始まったころから、住民のみなさんはひょうたん島だと確信してきたそうです。

 放送開始の年に小学5年だった私も、大統領ドン・ガバチョがテレビからこぼれ落ちて来たり、博士を中心とする子どもたちが大人をしのぐ大活躍をしたりする破天荒なストーリーにすぐ魅せられました。棒遣い人形の軽快な動きやポップな曲満載のミュージカル仕立ても新鮮で、学校で居場所を見つけられずにいた私にとって、子どもたちが自由に表現している姿は胸がすく思いでした。

 私は後で読み返して何度でも楽しめるよう、毎回必死にメモを取って、気が付けば放送終了まで5年間記録を続けました。驚いたことにNHKでもビデオテープの値段の高さからほとんど記録は残されておらず、1991年からリメイク版が作られた時に、私の記録ノートが活用され感激しました。自分の想いや番組の記録を本にできたのもうれしいできごとでした。

 そして今また沼津市のみなさんが、牛臥山=ひょうたん島を活かした街づくりを進めておられて、ひょうたん島ファンクラブの会長をしている私も「燦々ぬまづ大使」としてお手伝いしています。ひょうたん島の最大の魅力は、強い個性を持った島民たちが、もめながらも何とか折り合いをつけていっしょに生きていく過程(共生)です。そんなポリシーも活かしながらのプロジェクトは資料館作りから始まっています。ぜひ注目して下さい。